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2007-04-07 Sat 23:01
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遺言公開の後、逃げ出すように纏めた荷物はそれほどの数も無く、きゃぁきゃぁと騒ぎながらでも片付けるのにそれほどの時はかかりませんでした。 最後に両親の写真をベットサイドに飾リ見つめていた陽菜は、視線を感じて鏡の方へと振り返りました。 澪はベランダの戸を閉めてそばにいます。 気のせいかと首を傾げて鏡を見詰める陽菜を、澪はさりげ無く部屋から連れ出したのです。 『私達の部屋は隣だから、何かあったらいつでも来てくれて良いから。 さぁ 陽菜ちゃん屋敷を案内するわね。 といってもほとんど使っていなくて閉めっきりなんだけどね。 それがすんだらお茶にしましょう。 』 元々は一つの部屋をベランダで続いたのまま、薄い壁で仕切っただけと言うことは内緒にして、ベット側の部屋のドアを指差し、2階から1階へと鍵のかかった扉を説明して、最後は薄暗い階段を下りると地下には不釣合いな大きな扉の前に出ました。 『ここがご主人様の仕事場。』 いくらでも日当たりの良いお部屋はあるのに、わざわざ地下室になんて、不思議に思いながら、台所に向かったのです。 『陽菜ちゃんの料理は?』 |
2007-04-05 Thu 23:22
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様々な表情を変える陽菜の頬にもう一度唇をつけた澪は立ち上がり、スーツケースの方へと向かいます。 離れた澪に急に肌寒さを感じた陽菜は、自分の躯を抱きしめじっと澪を見つめています。 『さぁ、荷物を片付けてお茶にしましょう。』 勝手にスーツケースを開けて女の子らしいコットンの下着を一つ一つ鏡に見せ付けるように広げる澪に、陽菜は慌てて走りより、紅い顔で下着を取り返そうとします。 そんな陽菜を楽しそうに見下ろして、次々と下着を広げ、さりげなくサイズを確認していく澪に、陽菜はなかば抱きつき、その柔らかな胸の感触に、どきりとします。 思わず自分の未熟な躯を見下ろして、ため息をついてしまうのです。 『どうしたの? 陽菜ちゃん 怒った?』 |
2007-04-03 Tue 22:59
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『どぉ、 片付いた?』 もう一度見下ろす澪に、安心したような、少しがっかりしたような気がしてた陽菜は、澪の言葉に小さく躯を震わせました。 |
2007-04-02 Mon 00:55
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倒産の一言に居なくなる人間はいるとは思ってはいたものの、あたふたと屋敷から走り去る車の音を聞きながら、顧問弁護士が小さくため息をついて、人々の逃げ出す様を呆然と見つめる陽菜の方を振り返り、 『まず会社ですが、後を引き受けてくださる方が現れまして、名前は変わりますが何とかなりそうです。 それで個人的な負債ですが、この家や別荘を処分してもいくらか残ります。 最後に陽菜様の事ですが、まだ未成年と言うことでどなたかに後見人になっていただこうと思ったのですが…後はあなたから話していただいた方がいいのでしょうね』 いかがと言われても、今まで父親の庇護の元世間など知らない陽菜には、恩着せがましい言葉もその裏に隠された胡散臭さも気付くはずもありません。 世慣れているはずの弁護士汗、良いお話しと勧めるのですです。陽菜に抗うすべなど無く、その日のうちに、借金取りに捕まる前にとささやかな荷物をまとめ、必要な書類に言われるがままサインをして、車に乗せられたのです
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2007-03-29 Thu 23:51
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『陽菜ちゃん…心配しなくていいのよ。 私達がついてるからね』 最愛の父を失って混乱している陽菜は、弁護士や会社の役員に言われるまま葬儀、告別式をこなし、ただ操り人形のようにそこに居ただけです。 その間に今まで顔もその存在すら知らない自称親戚が陽菜の周りへと集まり、言葉巧みに保護を申し出ているのです。 陽菜は父の不在を悲しむ暇すら与えられず、何一つ自分で決めた事などないお嬢様生活から、様々な人々の思惑の渦へと放り込まれてしまったのです。 『えっ? 倒産…』 |