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2007-05-08 Tue 23:02
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いつもなら何の抵抗も無く解ける組紐が、震える指のせいでしょうか、なかなかいう事をきいてはくれません。 本来一人で行う着替えを夫以外の男性の前で行わなければいけない躊躇いと羞恥に、今すぐ逃げたしたいという私の心に、八千草さんのお気が変わらないうちにと焦る心が重なり、私の指は一層震え強張りを増します。 うつむき、必死に指動かそうとする私は、八千草さんがついた小さな溜息に、びくりと躯を強張らせたのです。 「ふぅ…もう いいです…」 思わず上げた顔にじっと見つめる八千草さんの顔がありました。 見捨てられてしまった… 私の心を襲った絶望感に何も考える事など出来ずに八千草さんの足元に跪き必死に膝に手をかけておりました。 そんな私を見下ろ問いかける声は少し厳しさを増しておりました。 男性の前で着替えるなんてはしたないことは出来そうにありません。 そして、このまま帰っても何の解決にもならないことは私が一番よく分かっております。 今は八千草さんのお情けに縋るしかない事も…。 「月子さん…?」 問いかける八千草さんに、私は意を決したかのように頷き、今度は震えのおさまった指で帯締めを解いたのです。 きゅっ… しゅっ…絹特有の軋みをあげて解かれ引き抜いた帯締めを纏めて私は八千草様に差し出したのです。 |
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