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2007-02-20 Tue 21:00
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ぱたりとドアを閉めて一人っきりになったとたん私は、崩れるように便座に腰掛けてしまいました。 少し広めの最新の設備の個室は、女性の生徒さんが多いからでしょうか綺麗に整えられたいました。 続く緊張に手は震え、このまま立て籠もってしまおうかとも思いましたが、そんなことが許されるわけもなく、私はビデを使って身を清め、下着のぬめりを拭ったのです。 それほど濃い化粧はしない私ですが、お化粧は私の戦闘服の一部です。 習慣から化粧を直そうと覗いた鏡から見返したのは、午前中の自信に満ちたキャリアウーマンではなく、口紅を乱した濡れた瞳のただの女でした。 彼に立ち向かう力などもう残っていないと思い知らされた私は、潔く残りの口紅を拭い取り、汗をかき乱れた肌を押さえるだけにしたのです。 『お待たせしました…』 『こっちですよ。 どうぞ。』 広い土間を抜け、靴を脱いで囲炉裏の有る板敷きを抜け、通されたのは広い縁側から秋の日差しの注ぐ和室でした。 その床の間にその壺は有ったのです。 作品展のものと同じ不思議な色のもう一回り大きなその壺を目にして、私はそのままペタンと畳に座り込んでしまいました。 そんな私の目の前に無造作に壺を置かれたのです。 『触っても…いぃの?』 『好きなだけ、どうぞ。』 おずおずと尋ねる私の声は掠れていました。 彼の声を待つこともなく私の震える手は壺へと伸ばせれていました。 最初はひんやりと冷たい肌でしたが、私の熱が移るのでしょうか、最後にはどんどんと熱を帯び私よりも少し熱く感じられました。 やっと触れられた嬉しさに私は頬ずりしたいほどでしたが、さすがにまだ粉の残る肌を押し付けることは出来ませんでした。 『これは、どう?』 『えっ?… ぁあ…っ……』 飽きもせず撫でさすり見つめ、隣の方の存在を忘れかけていた私に、いきなり小ぶりの抹茶茶碗を持たせたのです。 私の両手にすっぽりと納まったそれは、今まで目にしたものよりも深い赤を秘め、もっと熱く私の語りかけるのです。 『これは…?』 『僕の理想の女性の肌ですよ…』 『ぁぁ…』 『やっ 何を?…っ!』 掠れた声で訪ねる私の手首に紅い縄を巻きつけながら、彼は傍らの『緋色』と書かれた箱を目で示したのです。 『暴れると茶碗が落ちるよ、大人しくしなさい。』 『 解いてっ!…』 |
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